建ぺい率と容積率とは?概要や計算方法、緩和条件をわかりやすくまとめました
土地の不動産広告に必ず表記されている「建ぺい率」と「容積率」。
これらは法律で決まっている建築制限ですから、家づくりの際にはそれぞれの範囲に収まるよう設計や建築を進めなければなりません。
そもそも、建ぺい率と容積率が決まっている理由は何でしょうか。
また、どんな基準で決まっているのでしょうか。
これだけは知っておきたい、建ぺい率と容積率の基礎知識をまとめました。
建ぺい率とは?建ぺい率で制限される理由
建ぺい率とは、建物の広さ(建築面積)を制限する建築条件の一つで、土地の広さ(敷地面積)に対する建築面積の上限を定めた数値のことです。
建ぺい率が決められているのは、大きく2つの理由があります。
一つが、日照や通風といった土地の環境を保つこと。
建ぺい率によって建物の間に適度な隙間を確保することで、日当たりや風通しを保つことが目的の一つです。
もう一つの目的が、防火対策。
特に、建物が密集している都市部では、火災の延焼を防ぎにくかったり逃げ道を確保しづらかったりする環境があります。
建ぺい率によって建物の間に隙間ができることで、延焼を抑えたり避難ルートを確保したりと、安心して暮らせる環境がつくりやすくなるのです。
容積率とは?容積率で制限される理由
容積率とは、建物の規模(延床面積)を制限する建築条件の一つで、土地の広さ(敷地面積)に対する延床面積の上限を定めた数値のことです。
容積率が決まっていないと、少しでも室内を広くしようと高い建物をつくる人が出てくるでしょう。
そうなれば、隣地の日あたりや風通しなどに影響が出てきます。
容積率は、地域全体の住環境を保つうえで大切な建築制限なのです。
また、地域の人口を適度に調整することも、容積率が決められている理由の一つです。
高い建物をつくれば、その建物に住む人の数も増えます。
こうして一部の地域で過密化が進むと、インフラの整備が間に合わなかったり交通渋滞が生じたりと生活環境に悪影響を与える可能性が出てきます。
容積率によって人口をコントロールすることで、誰もが快適な街づくりを進めやすくなるのです。
建ぺい率と容積率の計算方法
建ぺい率と容積率は、以下の公式で求められます。
・建ぺい率 = 建築面積 ÷ 敷地面積
・容積率 = 延床面積 ÷ 敷地面積
たとえば、敷地面積が200m2の土地に、建築面積100m2、延床面積200m2の建物がある場合、建ぺい率は50%(=100m2÷200m2)、容積率は100%(=200m2÷200m2)ということになります。
建ぺい率と容積率は、建物が建てられるすべての土地で決まっていますから、実際には以下の公式を用いて家の建築面積と延床面積を求めることが多いでしょう。
・建築面積 = 敷地面積 × 建ぺい率
・延床面積 = 敷地面積 × 容積率
建ぺい率と容積率は土地の用途地域で決まっている
多くの人が住みやすい環境をつくるために、行政では地域ごとに「用途地域」を定め、その地域に建てられる建物の種類や広さなどを制限しています。
たとえば、閑静な住宅街には「第一種低層住居専用地域」または「第二種低層住居専用地域」という用途地域が指定されていますし、駅前などの商業地には「商業地域」や「近隣商業地域」といった用途地域が指定されているのです。
土地の建ぺい率と容積率も、この用途地域ごとに決まっています。それぞれの用途地域の建ぺい率と容積率は、以下の通りです。
第一種低層住居専用地域・第二種低層住居専用地域
・建ぺい率:30%・40%・50%・60%のいずれか
・容積率:50%・60%・80%・100%・150%・200%のいずれか
低層住居専用地域では、戸建住宅が並ぶほか小規模なアパートや公共施設、学校などが建てられます。
第一種中高層住居専用地域・第二種中高層住居専用地域
・建ぺい率:30%・40%・50%・60%のいずれか
・容積率:100%・150%・200%・300%のいずれか
中高層住居専用地域では、3階建て以上のアパートやマンション、小規模なスーパーなどが建ち並ぶ地域です。
低層住居専用地域だと容積率の制限で建てられない場合、中高層住居専用地域の土地を検討してみましょう。
第一種住居専用地域・第二種住居専用地域・準住居地域
・建ぺい率:60%
・容積率:200%・300%・400%のいずれか
住居専用地域では、中規模なスーパーや事業所、ホテルなどが建ち並ぶ地域です。
準住居地域には小規模な映画館や車庫・倉庫なども建てられます。
近隣商業地域
・建ぺい率:80%
・容積率:200%・300%・400%のいずれか
駅前商店街など駅から少し離れた地域で、中規模以上の建築物が多くみられます。
建ぺい率が高いため、建築面積を広げたい方は近隣商業地域の土地を検討するのも一手です。
商業地域
・建ぺい率:80%
・容積率:200%・300%・400%・500%・600%・700%・800%・900%・1000%のいずれか
商業施設が建ち並ぶ地域です。戸建住宅を建てることも可能ですが、生活環境の良さは望めないでしょう。
準工業地域・工業地域
・建ぺい率:60%
・容積率:200%・300%・400%のいずれか
主に工場が建ち並ぶ地域です。大きな幹線道路沿いでトラックなど大型車の通行量も多く、小さなお子さんがいるご家庭には注意が必要です。
工業専用地域
工業専用地域では、住宅の建築が認められていません。
上限ギリギリの家を建てる場合の注意点
限られた土地で少しでも広い住空間を確保するには、建ぺい率・容積率が上限ギリギリの家を設計することが求められます。
ただし、上限ギリギリの家を建てると、将来の増改築が難しくなる点には注意が必要です。
たとえば、リフォームの際にカーポートを新設したりベランダを広げたりすると、建築面積や延床面積が増える場合があるため、上限ギリギリで建てた家だと実現できないことがあります。
建ぺい率や容積率がオーバーした建物は「違法建築」とみなされますから、建築申請がおりず工事が始められませんし、住宅ローンやリフォームローンといった融資も借り入れできません。
将来、リフォームを検討されている方は、建ぺい率と容積率にゆとりを持たせた建築計画にすることをおすすめします。
建築制限は建ぺい率・容積率以外にもある
家を建てる際の建築制限には、建ぺい率や容積率のほかにもいくつかあります。
建ぺい率と容積率は守っていても、別の条例や規制に反した場合は家が建てられませんので、検討している土地にどんな建築制限があるかを確認しておくことが大切です。
建ぺい率・容積率以外でよくある建築制限の一例をお伝えしましょう。
絶対高さ制限
建物の高さを規制する建築制限です。
たとえば、「第一種低層住居専用地域」の土地には、10mまたは12mまでと建物の高さを制限した物件があり、容積率の範囲内でも違法建築になる恐れがあります。
特に、3階建ての家を検討されている方は注意が必要です。
斜線制限
斜線制限とは、隣地や道路との境界線上から一定の勾配を付けた線を引き、その線を超えないよう建物の高さを制限する規制です。
主に、隣地の日当たりを確保することが目的で、勾配線をオーバーした部分には斜めの欠けをつくるなど、設計を工夫する必要があります。
日影規制
高さ制限の一種で、冬至の日に隣地で一定時間以上の日影が生じないよう建物の高さを制限する規制です。
第一種・第二種低層住居専用地域などの住宅地に見られる規制で、3階建て以上の建物や軒の長い家を計画されている方は、注意しましょう。
建ぺい率や容積率には緩和措置もある
土地によっては、建ぺい率を高く設定できる「緩和措置」が適用される物件もあります。
また、容積率には設計の工夫により広々とした空間を確保できる緩和措置もあります。
少しでも広い住空間を検討されている方は、以下の措置が適用される土地や間取りを検討してみてはいかがでしょうか。
建ぺい率の緩和措置
都市計画で「防火地域」または「準防火地域」に指定された地域に、耐火建築の家を建てる場合、建ぺい率を10%緩和できる措置があります。
仮に、建ぺい率が60%なら70%に、80%なら90%まで緩和されるため、広々とした住空間を実現しやすくなるでしょう。
なお、防火地域や準防火地域は主に商業地域で指定されており、戸建住宅に適した環境であるかを見極める必要があります。
住宅地でも、角地だと建ぺい率が10%緩和される土地もあります。
条件は自治体によって異なりますが、たとえば敷地の3分の1以上が道路に接している角地や、角度が120度以下の角地などで家を建てる場合に、建ぺい率が緩和される物件があります。
条件を満たす土地は限られるため見つけるのに苦労するかもしれませんが、できる限り広い住空間を求める方は探してみる価値があるでしょう。
容積率の緩和措置
容積率の緩和措置は、土地の条件に左右されず適用されやすいので、住空間を広げたい方にはおすすめです。
具体的には、「延床面積に含まれない」以下の間取りを検討する場合に、緩和措置の適用が受けられます。
・ベランダ・バルコニー
(壁や柱で囲まれておらず、奥行2mまでのベランダ・バルコニーであること)
・ロフト
(高さ1.4m以下、フロアの床面積の2分の1までの広さで、常設はしごや階段が設置されていないこと)
・地下室
(延床面積の3分の1以下までの広さで、天井が地面から1m以内であること)
・ビルトインガレージ
(延床面積の5分の1以下までの広さであること)
まとめ
建ぺい率や容積率などの建築制限は、その地域の生活環境を守るために設けられた重要な指標です。
制限を無視した家を建てると違法建築とみなされ、さまざまなペナルティを受けることになりますから、必ず守って家づくりを進めましょう。
建ぺい率や容積率の関係で理想の家が建てられない場合、用途地域を変えて物件を探したり、緩和措置のある土地や設計で工夫したりするのも一手です。
限られた土地を上手に活用し、住みやすいマイホームを手に入れましょう。
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