ふるさと納税と住宅ローン控除は併用できる?併用する場合の方法と注意点をわかりやすく紹介
住宅ローン控除を受けている人の中には、「ふるさと納税」を検討されている方も少なくないでしょう。
いずれも、所得税などから控除される減税制度ですから、うまく活用すれば大きな節税効果が期待できます。
ただし、併用する際には注意点もありますので、あらかじめ把握しておかなければ期待した効果が得られなくなります。
ここで、住宅ローン控除とふるさと納税を併用する方法や注意点を、まとめて解説します。
住宅ローン控除とは?
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)とは、年末時点のローン残高に応じて、その年に納めた所得税などから控除される減税制度です。
控除率は0.7%。
仮に、年末時点で3,000万円のローン残高がある場合、最大21万円の還付が受けられます。
しかも、控除期間は最長13年ですから、トータルで数百万円の節税が期待できるでしょう。
なお、住宅ローン控除はあくまでも納税額から還付されるものです。
所得税で控除できなかった分は住民税からも控除されますが、納めた税額以上に戻ってくるものではありませんので、その点は理解しておく必要があります。
また、年末時点のローン残高には上限額が設定されています。
その上限額は住宅の省エネ性能に応じて異なります。
一例として、国の省エネ基準に適合する住宅の場合は4,000万円、ZEHは4,500万円、認定住宅は5,000万円です。
ふるさと納税とは?
ふるさと納税(地方創生応援税制)とは、任意の自治体に寄付ができる制度のことです。
ふるさと納税を利用すると、寄附金から自己負担金を除いた額が、住民税などから控除されます。
自己負担金は、2,000円が通例です。
仮に、ふるさと納税で3万円を寄付すると、自己負担金の2,000円を差し引いた2万8,000円が控除されます。」
なお、ふるさと納税の控除額は年収や扶養家族の人数などに応じて、上限が設定されています。
また、住宅ローン控除と同様に、納税額以上の還付は受けられません。
住宅ローン控除とふるさと納税は併用できる
住宅ローン控除とふるさと納税は、併用することが可能です。
住宅ローン控除は所得税からの控除がメインの税制である一方、ふるさと納税は住民税からの控除がメインです。
このため、両方を利用できる人は大きな節税効果が期待できます。
なお、住宅ローン控除は所得税で控除できなかった分を住民税から控除できます(住民税から控除できる上限額は13万6,500円です)。
また、ふるさと納税も確定申告をした方であれば、所得税からの控除が可能です。
このため、併用すると控除が重複する可能性があり、条件によっては期待した節税効果が得られないこともあります。詳しくは、後ほど解説しましょう。
ふるさと納税の控除手続き方法
住宅ローン控除を受けるには、あらかじめ確定申告をする必要があります。
ふるさと納税の場合も同じく、控除を受けるには確定申告が必要です。
ただし、「ワンストップ特例制度」を利用する場合は確定申告をしなくても、ふるさと納税による控除が可能です。
ここで、確定申告をする場合とワンストップ特例制度をする場合の、それぞれの控除の手続き方法を解説します。
確定申告で手続きする方法
ふるさと納税を利用すると、寄付をした自治体から「寄付金受領証明書」という書類が送られてきます。
これを元に課税所得などを計算し、確定申告書に記載します。
詳しい計算方法は、後ほど解説します。
ワンストップ特例制度で手続きする方法
ワンストップ特例制度とは、給与所得者など確定申告が不要な方が利用できる制度です。
この制度を利用するには、「寄付金税額控除に係る申告特例申請書」に必要事項を記入して、寄付をした自治体に送付すれば完了します。
この申請書は、返礼品と一緒に送ってくれる自治体もありますが、送られてこなくても総務省や自治体のサイトなどからダウンロードできます。
ワンストップ特例制度を利用する場合の注意点
上述のとおり、ワンストップ特例制度は確定申告が不要な方が利用できる制度です。
このため、確定申告が必要な人は給与所得者であっても利用できません。
たとえば、住宅ローン控除を受けるには、購入した翌年に確定申告をする必要があるため、この年にワンストップ特例制度は利用できません。
ほかにも、医療費控除の手続きが必要な方も確定申告が必要です。
給与所得者でも、ワンストップ特例制度が利用できない年がありますから、注意しましょう。
また、ワンストップ特例制度を利用すると所得税からの控除ができない点も、覚えておきたいポイントです。
ただ、住宅ローン控除と併用する場合は所得税から控除されない方が節税効果を高められる可能性があります。
確定申告の必要がない方は、ワンストップ特例制度の利用をおすすめします。
ふるさと納税と住宅ローン控除併用時の計算方法
住宅ローン控除と併用したときの、ふるさと納税の控除額の計算方法を解説します。
(1)課税所得を求める
確定申告で手続きをする場合は、まず総収入からふるさと納税額を差し引きます。
このとき、自己負担分(2,000円)は差し引けないので注意しましょう。
差し引いた額から、基礎控除や配偶者控除なども差し引けば、課税所得の確定です。
(2)所得税納付額を求める
課税所得から所得税や復興特別所得税の納付額を求めます。
計算方法は、税務署で配布している「確定申告の手引き」に記載されていますので、記載された通りに計算します。
(3)所得税納付額から住宅ローン控除額を差し引く
次に、住宅ローン控除額を求めます。控除額は、住宅ローンの年末時点の残高の0.7%です。
この額を、(2)で求めた所得税納付額から差し引きます。
なお、所得税で差し引けなかった分は住民税から差し引けます(住民税から差し引けるのは、最大13万6,500円です)。
(4)住民税からふるさと納税の寄付金額を控除する
続いて、住民税からふるさと納税の寄付金額(自己負担分を除く)を控除します。
住民税からも住宅ローン控除を差し引いた方は、残り額からふるさと納税の寄付金額(自己負担分を除く)を差し引きます。
住宅ローン控除とふるさと納税を併用するときの注意点
上の計算方法で紹介したように、確定申告で手続きをする場合は、最初に総収入からふるさと納税の寄付金(自己負担分を除く)を差し引いて課税所得や所得税の納付額を求めます。
このため、納める所得税が減る可能性がある点には注意が必要です。
所得税が減ると、住宅ローン控除で控除できる額も減ってしまいます。
仮に、控除額が所得税納税額を上回る場合、住民税からも差し引けますが、住民税には上限(13万6,500円)が設けられていますし、ふるさと納税の寄付金分に差し引けない可能性も出てくるのです。
なお、ワンストップ特例制度を利用できる方であれば、確定申告をしないため、課税所得や所得税の納付額は減りません。
このため、所得税から住宅ローン控除ができる額を増やせますし、住民税から差し引く場合でも、ふるさと納税の控除分を差し引ける可能性が高まります。
こうした理由から、確定申告をする必要がない方は、ワンストップ特例制度を利用した方が節税効果を高められるのです。
住宅ローン控除・ふるさと納税を併用したモデルケース
住宅ローン控除とふるさと納税を併用すると、どれくらいの節税効果があるのでしょうか。
ここで、年収や扶養家族の有無などの違いから、想定される控除額を検討してみます。
年収400万円・扶養家族なし(自営業)・ローン残高3,000万円のケース
年収400万円の自営業者で、扶養家族なし(共働き)、ローン残高が年末時点で3,000万円の場合で、シミュレーションしてみます。
なお、自営業者のためふるさと納税の控除手続きは確定申告で行います。
課税所得から、この人が納める所得税を求めると8万円くらいでしょう。
また、住民税は17万円くらいだと考えられます。
住宅ローン控除の最大控除額は、残高3,000万円に0.7%をかけた21万円です。
これを所得税(約8万円)から控除し、残り13万円が住民税から差し引くことになります。
ただ、住民税の控除上限額は13万6,500円ですから、全額控除ができるかは微妙なケースです。
一方、このケースのふるさと納税の上限控除額は、約4万円と推定されます。
仮に、住宅ローン控除を住民税(約17万円)から全額差し引けたとすれば、残り4万円
寄付金が3万円以内であれば全額控除できるかもしれませんが、4万円になると全額控除できない可能性があります。
まとめると、このケースでは合計約25万円の節税効果が期待できますが、納税額によっては控除の取りこぼしが生じ、期待した節税効果が得られない可能性があります。
年収600万円・扶養家族あり(給与所得者)・ローン残高4,000万円のケース
年収600万円の給与所得者(扶養家族あり)、年末時点のローン残高が4,000万円のケースでみていきましょう。
なお、住宅ローン控除は2年目以降で確定申告は不要とし、ワンストップ特例制度を利用することにします。
課税所得から、この人が納める所得税を求めると18万円くらい、住民税は約30万円と考えられます。
住宅ローン控除の最大控除額は、残高4,000万円に0.7%をかけた28万円。
所得税からの控除後、住民税から差し引ける額は約10万円です。
住民税の控除上限額は136,500円なので、全額控除ができると考えられます。
つづいて、ふるさと納税の上限控除額ですが、約7万円と推定されます。
住民税から住宅ローン控除を差し引いても20万円くらいありますので、こちらも全額控除できるでしょう。
まとめると、このケースでは合計約35万円の節税効果が期待できます。
まとめ
住宅ローン控除とふるさと納税を併用することで、節税効果を高めることが可能です。
ただし、納める所得税や住民税は収入・扶養家族の有無などの条件によって、人それぞれ異なりますから、全額控除できないケースがあることも把握しておく必要があります。
最近では、金融機関のホームページなどで住宅ローン控除やふるさと納税の最大控除額を試算できるページもあります。
節税効果を少しでも高めたい方は、こうしたツールを活用して、それぞれの控除額がどれくらいになるのかをシミュレーションしてみましょう。
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