戸建ての寿命は何年なのか?実は長い木造住宅の本当の耐用年数
愛着を持って大切に家をメンテナンスすれば、耐用年数より長く家で暮らすことも可能です。
では、戸建住宅の本当の寿命は、いったい何年なのでしょうか?
耐用年数との違いや、家を長持ちさせるポイントなども含めて解説します。
「法定耐用年数」と「本当の家の寿命」は違う?
「木造住宅の耐用年数は22年」という話を、聞いたことはありませんか?
この根拠は、「法定耐用年数が22年」だからです。
法定耐用年数とは、税務上の資産価値を示すもので、減価償却を計算する際に使われます。
具体的には、建物の固定資産税を求める際に用いられるものです。
固定資産税は、固定資産税評価額に一定の税率をかけて求めますが、この評価額は建物の築年数が古くなるほど下がっていくのが一般的です。
これは、評価額から減価償却分が毎年引かれていくためです。
つまり、建物に課せられる固定資産税は毎年安くなります。
大まかにいえば、木造住宅は22年が過ぎると「税務上の資産価値はゼロになる」ということです。
ただし、固定資産税がゼロになるわけではありません。23年目以降の木造住宅にも、一定の固定資産税が発生します。
法定耐用年数は建物の構造によって異なる
法定耐用年数は、建物の構造によって異なります。
先ほども述べたように、木造住宅の法定耐用年数は22年ですが、鉄骨造(重量鉄骨造)の場合は34年、鉄筋コンクリート造(RC造)だと47年など、頑丈な造りの建物ほど長くなります。
法定耐用年数が長いほど、建物の価値が下がりにくいということですから、固定資産税がいつまでも安くならず、トータルの納税額は高くなりやすいのです。
このように、法定耐用年数はあくまでも税務上の資産価値を示すものであり、実際に住み続けられる年数とは異なります。
実際に住み続けられる年数は?
では、実際に住み続けられる「家の寿命」は、どれくらいになるのでしょうか。
一般的に、大規模なリフォームや建て替えの目安となる年数は、次の通りといわれます。
・木造:約30年
・鉄骨造:約30~50年
・鉄筋コンクリート造:約40~90年
いずれの構造の家でも、法定耐用年数よりも長く住み続けられることがわかります。
近年は、住宅性能が上がっていることから、これよりも長く住み続けられる家も提供されており、さらに家の寿命を延ばすことも可能でしょう。
また、木造住宅は鉄筋コンクリート造などと比べて寿命が短いといわれますが、一概にはいえません。
たとえば、法隆寺の五重塔は1,300年以上も建ち続けています。
もっとも、五重塔は住居ではありませんが、木造でもしっかりメンテナンスをすれば100年以上住み続けることも可能です。
メンテナンス次第で建物の実際の寿命は変わる
上記の寿命は、あくまでも目安の年数です。
家の寿命は、住み始めてからのメンテナンスに大きく左右されます。
メンテナンス次第では、上記よりも長く住み続けることが可能ですし、逆に短くなる場合もあります。
では、家の寿命を長くするには、具体的にどのような対策を施せば良いのでしょうか。
いくつかポイントをお伝えしましょう。
日常の清掃を小まめに行う
日々の掃除は、家の美観を保つだけでなく、家の寿命を延ばすことにも関わってきます。
たとえば、掃除をしているときに傷や割れ目などの欠陥を発見することもあるでしょう。
小まめに掃除をしている人ほど、その欠陥を発見しやすく、早めに対処することで家の寿命を延ばすことにつながります。
なお、補修費用や工事費用も早目に対処した方が安く抑えられます。
特に、外壁などの「外まわり」と「水まわり」は、小まめにチェックしたい箇所です。
外壁にひび割れがあると、そこから雨水が浸入して家の構造を腐食する可能性があります。
雨どいの割れや詰まりなども、建物の強度に影響を与える恐れがあるので、掃除の際に注意しておきましょう。
水まわりは、築10年を過ぎた頃から劣化が始まるといわれます。
水漏れや異臭などの場合、配管の異常だけでなく土台や構造にも影響している可能性も考えられます。
こうした異常を早めにキャッチし、補修などをすることで家の寿命を延ばすことにつながるのです。
専門家による定期点検の実施
専門業者に定期点検を依頼することで、素人の目ではわからない異常を早期発見できることがあります。
たとえば、フローリングを踏むと、きしむような音がする場合には、土台や基礎に何らかの異常があるのかもしれません。
普段の生活では気にならない部分でも、専門家に見てもらうことで補修が必要かどうかの判断ができますから、定期的に点検をしてもらうことをおすすめします。
また、電気やガス設備、トイレ、ユニットバスといった住宅設備にも耐用年数があります。
これらも、定期点検で異常がないかチェックしてもらい、早目に対処することで耐用年数よりも長く使える場合がありますから、専門業者に依頼して確認してもらいましょう。
部分的にリフォームする
専門家による点検などを踏まえて、部分的なリフォームをすることも、家を長持ちさせるポイントの一つです。
たとえば、築10~15年になると、壁のクロス張り替え、給湯器やコンロなどを交換する目安の時期です。
築15~20年になれば、トイレや洗面化粧台、レンジフードなどの交換も検討したい時期ですし、屋根や外壁の塗装も必要でしょう。
さらに築20~30年になれば、フローリングの貼り替えやユニットバスの交換時期です。
このように、それぞれの箇所で耐用年数に応じたリフォームを小まめに行うことも、家を長持ちさせることにつながりますし、後でまとめてリフォームするよりも工事費用を抑えられるケースが多いです。
長く住み続けられる家を選ぶことも大切
メンテナンスを適宜実施することで、物理的な家の寿命を延ばせても、家族構成やライフスタイルなどの変化に合わなければ「住みにくい家」になるでしょう。
長く住み続けるには、こうした変化に柔軟な対応ができる家を建てることも大切です。
家づくりの際には、「間取りを変更しやすい家」「断熱性や耐震性の高い家」を検討することで、長く住みやすい家を建てられます。
間取りを変更しやすい家
家族構成やライフスタイルが変化しても、間取りが容易に変更できれば、変化に合わせて対応でき、長く住み続けることも可能でしょう。
たとえば、「壁の少ない家にして、可動式の家具で仕切る」「壁や天井に間仕切りができる下地を設置しておき、子ども部屋が必要になったら壁を設ける」といった工夫を、設計段階でしておけば、間取りを可変しやすくなります。
また、構造に関しても、在来工法(木造軸組工法)は間取りを可変しやすいといわれます。
断熱性や耐震性の高い家
断熱性能の低い家では、冬に結露が生じやすくなります。
その水滴が家の内部に染み込むと、構造材を腐食させる可能性があり、家の耐久力に大きな影響を与えます。
断熱性の高い家なら、結露も生じにくくなり、耐久性を長く保てるようになります。
また、大きな地震が多い日本では、耐震性能も重要なポイントです。
耐震性の高い家を建てることで、大きな地震に襲われても破損や倒壊するリスクが低くなり、長く安心して住み続けられます。
寿命が近づいた家はどうすればいい?
どんなに強い家を建てても、やがて寿命を迎える時が来ます。
物理的には問題なくても、ライフスタイルの変化などで「住みにくい」と感じたら、それも寿命でしょう。
家の寿命が近づいたら、「リフォーム」「建て替え」「売却」などを検討する時期です。
どれを選択するかは、家の状態にもよりますし、そこで暮らす方の考え方にもよります。
リフォームする
リフォームは、建て替えと比べてコストを抑えやすいことがメリットの一つです。
フルリフォームやリノベーションでも、建て替える場合と比べて5~7割くらいの費用で済むケースが多いです。
工期も短いので、仮住まいに要するコストも抑えられます。
ただ、家の構造によっては間取りなどが変更できないこともあり、住みにくいと感じる問題を解決できない場合があります。
また、基礎や構造に問題があると工事費用が大幅にアップする可能性もあります。
建て替える
リフォームで解決できない問題が多いときは、建て替えを検討するのも一手です。
1から設計しますから、間取りや構造なども現在の状況にあった、住みやすい家が手に入れられるでしょう。
なお、建て替える前に家を解体する工事が必要です。その上で、新築の家を建てるため工事期間も長くなり、トータルの費用も高くなります。
売却する
資金的にリフォームや建て替えが難しい場合は、家の売却も選択肢の一つです。
複数の不動産会社に相談して査定してもらい、条件の良いところを選んで売却を依頼しましょう。
ただ、築年数の古い家は査定額が低くなります。
家の状態によっては、新築時の10分の1程度にしかならず、思ったほどの価格で売れないこともあります。
また、その価格で売り出しても、買い手がいなければ売れません。
いつまでも売れなければ価格変更も必要でしょうし、物件によっては家を解体して土地だけの販売にした方が売れるかもしれません。
まとめ
家の寿命は、法定耐用年数とは異なります。法定耐用年数が22年とされる木造住宅でも、こまめにメンテナンスを実施して大切に使えば、100年以上住み続けることも可能です。
ただ、物理的に長く維持できても、ライフスタイルなどの環境の変化に適合しなければ、住みにくい家になってしまいます。
リフォームでは課題が解決できないときは、建て替えた方がメリットの大きい場合もありますので、予算を含めて検討されてはいかがでしょうか。
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