財形貯蓄は住宅購入にも使える?財形貯蓄の種類やメリット、注意点を分かりやすく解説
勤務先の福利厚生などに「財形貯蓄」という制度があれば、これを利用して住宅購入資金を借り入れることも可能です。
この財形貯蓄が、どのような制度なのかを詳しく知らない方もいらっしゃるでしょう。
ここで、制度の内容や利用するメリットとデメリット、住宅購入を目的とした融資の借り入れ条件、利用する際の注意点など、財形貯蓄の基本的な情報をお伝えします。
財形貯蓄とは
財形貯蓄とは、毎月の給与から一定の金額が天引きされ、利用者の代わりに勤務先の企業が貯蓄をしてくれる制度のことです。
給与から自動的に天引きされますから、貯蓄が苦手という方でも確実に資産形成ができるようになります。
天引きされたお金は、勤務先が提携する銀行などの金融機関で預かります。
通常の預貯金と同様に、積立金額に応じて利息も付きます。
もちろん、利用者が払い出すことも可能ですし、そのお金を住宅購入資金や老後の生活資金などに使うことも可能です。
財形貯蓄は、国と企業が連携して、従業員の資産づくりを支援することを目的に制度化されました。
「家を購入する」「老後の資金を蓄える」など、利用者の目的に合わせた資産形成を国と企業がサポートしてくれるのが、財形貯蓄という制度なのです。
財形貯蓄の種類と用途
財形貯蓄には、「一般財形貯蓄」「財形住宅貯蓄」「財形年金貯蓄」という3つの制度があります。
それぞれの制度には、使用目的や条件などが定められていますから、自分に適したものを選ぶことが大切です。
一般財形貯蓄
一般財形貯蓄とは、使用目的を定めずに積み立てができる制度です。
貯めたお金で車を購入したり、子どもの教育資金に使ったりと、自由に使えるお金を積み立てられます。
原則として3年以上の積み立てを求められますが、利用開始から1年以上経てば、いつでも払い出しができますし、その回数にも制限はありません。
一人で複数の契約をすることも可能です。
自由度の高い財形貯蓄制度ですが、利息や投資信託などの配当金は課税対象になる点は覚えておきましょう。
財形住宅貯蓄
住宅購入やリフォームなど、住宅資金の形成を目的に積み立てる制度です。
利用条件は、55歳未満の従業員で5年以上の積み立てが求められます。
原則1人1契約のみで、一般財形貯蓄のように複数の契約はできません。
ただし、ほかの財形貯蓄と併用可能です。
払い出しの用途は住宅に関する資金に限られますが、この後に紹介する財形年金貯蓄と合わせて550万円までに生じる利息は非課税になる優遇措置があります。
なお、住宅資金以外の用途で払い出した場合は、払い出した月からさかのぼって5年間の利息などが課税対象となりますので注意が必要です。
財形年金貯蓄
老後の生活資金の積み立てを目的とした制度です。
利用条件は、55歳未満の従業員で、5年以上の積み立てが求められます。
契約は、原則として1人1契約です。
ほかの財形貯蓄との併用は可能です。
積立金は、60歳を過ぎると年金のように受け取れます。
受取期間は5年以上20年以内と決まっており、一括で受け取ることはできません。
金融機関によっては、積み立て終了時から一定期間を据え置くルールを設けているところもあるようです。
財形住宅貯蓄のところで解説したように、財形住宅貯蓄と財形年金貯蓄とを合わせて550万円までに生じた利息は非課税になります。
なお、途中解約で積立金を払い出すと優遇措置は適用されず、課税されますから注意しましょう。
財形貯蓄を利用するメリット
貯蓄をするなら、銀行などの金融機関でもできますし、ほかの資産形成サービスを利用する手もあります。
しかし、財形貯蓄にはこれらの利用では得られないメリットを享受できます。
確実に貯蓄ができる
財形貯蓄は給与から自動的に天引きされる仕組みですから、確実に貯蓄できる点がメリットの一つです。
払い出す際には、預けている金融機関だけでなく勤務先の企業にも申請する必要があるため、不要な払い出しを抑えられるでしょう。
こうした特徴からも、貯蓄が苦手な方に適した制度といえます。
税制上の優遇措置がある
銀行などに預けたお金の利息は、課税対象です。
財形貯蓄も、一般財形貯蓄は課税対象ですが、財形住宅貯蓄と財形年金貯蓄は、合計550万円までに生じた利息に対して非課税になる優遇措置があります。
このため、銀行に預けるよりも利息が高くなる可能性があります。
公的な住宅ローンが使える
財形貯蓄の利用者は、「財形持家転貸融資」という公的住宅ローンを使えます。
これは、財形住宅貯蓄だけでなく、一般財形貯蓄や財形年金貯蓄のいずれかを利用している人も対象者です。
財形持家転貸融資は、固定金利でありながら比較的に低金利であることが利用するメリット。
また、フラット35などのほかの住宅ローンと併用することも可能です。
なお、財形持家転貸融資にはさまざまな利用条件がありますので、この後に詳しく解説します。
財形持家転貸融資の利用条件
財形貯蓄を利用している方は、財形持家転貸融資を利用して住宅購入資金を受けることができます。
ただし、以下の利用条件を満たすことが前提です。
・財形貯蓄を1年以上利用していること
・貯蓄残高の合計額が50万円以上あること
貯蓄残高は、財形住宅貯蓄だけでなく、一般財形貯蓄と財形年金貯蓄を合わせて50万円以上なら財形持家転貸融資に申し込めます。
融資の限度額について
財形持家転貸融資には、以下の上限が設けられています。
・財形貯蓄残高の10倍以内で、上限額は4,000万円
・住宅取得に要する費用の90%以内
たとえば、貯蓄残高の合計額が300万円の人は、その10倍の3,000万円まで借り入れられますが、物件価格が3,000万円の場合は、その9割の2,700万円が融資限度額になります。
財形持家転貸融資の融資額は、一般的な住宅ローンと比べて少ないです。
ただ、ほかの住宅ローンと併用できるため、民間金融機関からの融資では足りないときに、財形住宅融資で補うといった利用法も可能です。
なお、購入する家にもさまざまな条件を満たす必要があります。
詳しくは、勤務先の財形貯蓄担当者または金融機関などに問い合わせて確認しましょう。
財形貯蓄のデメリット
財形貯蓄にはメリットだけでなく、デメリットもあります。
以下の点を確認した上で、利用を検討しましょう。
勤務先に制度がなければ利用できない
財形貯蓄は、国と企業が連携して提供する制度です。
このため、勤務先の企業が制度を導入していない場合は、財形貯蓄を利用できません。
もちろん、自営業者やフリーランスといった方も、財形貯蓄を利用できません。
なお、財形貯蓄制度のある企業であれば、正社員に限らず契約社員、アルバイト、パートなどの人でも利用できます。
途中で制度の変更ができない
財形貯蓄の3つの制度は併用が可能ですが、一般財形貯蓄から財形住宅貯蓄に変えるといった途中で変更することはできません。
別の積み立てをしたい場合は、新規で加入することになります。
なお、途中で解約することも可能です。
ただし、財形住宅貯蓄と財形年金貯蓄を解約する場合は、利息に対して課税されますので払出額が少なくなる場合があります。
非課税の恩恵を受けにくい
財形住宅貯蓄と財形年金貯蓄には、非課税優遇措置がありますが、低金利が続く現在では、あまり恩恵を感じないかもしれません。
ちなみに、2023年6月現在でメガバンクの財形貯蓄の金利は0.002%です。
100万円を1年間預けても利息は20円にしかならず、課税額は4円にしかなりません。
逆に、財形住宅貯蓄や財形年金貯蓄を途中で解約をしても、課税額は微々たる額でしかないともいえます。
財形貯蓄の注意点
財形貯蓄を利用する際には、いくつかの注意点があります。
特に、転職や退職をする際には以下の点を把握しておきましょう。
退職時には解約になる
会社を退職すると、財形貯蓄は一定の猶予期間を経て解約になります。
転職先にも財形貯蓄制度がある場合は引き継ぐことも可能ですが、転職先に制度がない場合は解約されます。
その場合、積み立てたお金は戻ってきますが、財形住宅貯蓄と財形年金貯蓄の場合は「本来の目的以外で払い出す」とみなされ、非課税優遇措置が適用されなくなります。
このため、積立金から税金が差し引かれて払い出されますので、覚えておきましょう。
転職時には新たな契約が必要な場合がある
転職先にも財形貯蓄制度がある場合、移換手続きが必要です。
その際、同じ金融機関で継続する場合は「勤務先異動申告書」、ほかの金融機関になる場合は「財形貯蓄継続適用申告書」などの書類を作成し、転職先の企業を通じて提出する必要があります。
なお、引き継ぎには2年間の猶予期間が設けられています。
つまり、2年以内に財形貯蓄制度のある企業に転職して手続きを済ませれば、引き続き利用できるということです。
2年以内に手続きができなければ、解約になります。
元本割れリスクがある商品もある
財形貯蓄の商品には、定期預金以外にも保険や投資信託といった商品もあります。
これらの商品には、元本割れのリスクがある点は把握しておきたいところです。
たとえば保険の場合、早期に解約すると元本割れする可能性があります。
投資信託は、運用に失敗すれば元本割れします。
もちろん、上手く運用できれば定期預金よりもリターンが大きくなる可能性もありますが、リスクがあることも認識し、慎重に検討したうえで加入しましょう。
まとめ
財形貯蓄は、「家を買いたい」「老後にゆとりある生活をしたい」などの目標を立て、積み立てていく制度です。
給与から天引きされるため、貯蓄が苦手な方でも資産形成のしやすい制度ともいえるでしょう。
ただ、積み立てを目的とした商品は財形貯蓄以外にもたくさんあります。
計画性をもって貯蓄ができる方であれば、銀行の定期預金でも良いでしょう。
マイホームの購入を検討されている方は、自分に適した方法を選び、コツコツと自己資金を積み立てていきましょう。
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