No.89

親から住宅購入の資金援助を受けるときに損をしない方法!贈与税の非課税特例とは

マイホームの頭金の一部を、親から援助してもらう予定の方もいらっしゃるでしょう。

ただ、その金額によっては「贈与税」が課せられる可能性があります。

たとえ親族であっても、条件によっては多額の贈与税が課せられるため、注意が必要です。

ただし、贈与税には「特例」があり、住宅取得が目的の場合は非課税限度額が高く設定されています。

この特例を受けるには、一定の条件を満たす必要がありますが、具体的にどのような条件が必要なのでしょうか。

贈与税の基本的な知識とともに、詳しく解説します。

贈与税とはどんな税金?

贈与税とは、個人間の取引において一定額を超える財産を取得した時に、その財産に対して課せられる税金のことです。

この場合の財産とは、現金のほか不動産や自動車、有価証券なども含みます。

また一定額とは、一般的な贈与であれば年間110万円です。

贈与税には基礎控除が設けられており、その金額が110万円です(2023年現在)。

つまり、その年の1月1日から12月31日までの贈与合計額が110万円以下の場合は、贈与税は課税されません。

住宅取得等資金の贈与税の非課税の特例とは

贈与税の基礎控除には、特例があります。

その一つが、住宅取得を目的とした贈与に適用される「住宅取得等資金の贈与税の非課税の特例」です。

この特例は、親や祖父母などの直系尊属から住宅購入資金の一部として贈与を受ける場合、基礎控除額が最大1,000万円に緩和されます。

基礎控除額は、住宅の性能によって異なり、断熱性や耐震性などを高めた省エネ等住宅の場合は1,000万円、その以外の一般的な住宅だと500万円です。

なお、この特例は一般贈与の基礎控除と併用できます。

親などから1円の贈与も受けていない人が省エネ等住宅を取得する場合は、最高1,110万円までが非課税になります。

特例の適用条件について

住宅取得等資金の贈与税の非課税の特例は、一定の条件を満たす人が受けられます。

基本的な条件は、次の通りです。

・直系尊属からの贈与であること

・18歳以上の人

・合計所得金額が2,000万円以下

・日本に住んでおり、日本国内に家を建てること

・床面積は40m2以上240m2以下

・贈与を受けた年の翌年3月15日までに入居すること

それぞれの項目について、詳しく解説します。

直系尊属からの贈与であること

直系尊属とは、贈与を受ける人の両親または祖父母のことです。

兄弟や親戚は、対象になりません。

また、配偶者の両親や祖父母も対象外ですが、養子縁組の場合は直系尊属として認められます。

このほか、夫婦で共有名義の家を建てる場合、それぞれの親から贈与を受けても適用されます。

夫の両親から1,000万円、妻の両親から1,000万円の贈与があっても、共有名義の省エネ等住宅を建てることが目的であれば非課税です。

18歳以上の人

贈与を受けた年の1月1日現在で、18歳以上の人であることも条件です。

以前は20歳以上でしたが、法改正により2022年4月以降は18歳に引き下げられました。

合計所得金額が2,000万円以下

共働き世帯の場合、夫婦の合計所得が2,000万円以下であれば適用されます。

なお、床面積が40m2以上50平方m2未満のマンションなどを取得される方は、1,000万円以下になります。

日本に住んでおり、日本国内に家を建てること

住所が日本にある人が、日本で家を建てることが条件です。

床面積は40m2以上240m2以下

この場合の床面積は、登記簿上の床面積です。

なお、店舗や事務所などを併設する家の場合、床面積の半分以上を住居として使用することも条件です。

贈与を受けた年の翌年3月15日までに入居すること

贈与税は、管轄の税務署に申告する必要があります。

申告期限は、贈与を受けた翌年の3月15日までです。

この日までに入居できるよう、スケジュールを調整する必要があります。

中古住宅の追加要件について

中古住宅は、新耐震基準に適合していることも条件になります。

具体的には、以下の要件を満たす建物であることが条件です。

・1982年1月1日以後に建築された家であること

・1981年以前の建物は、耐震基準適合証明書などで安全性が証明されていること

1981年以前の建物で耐震基準を満たさない場合は、耐震改修工事を実施することで適用されます。

その場合、住宅取得日までに耐震改修工事の申請を行い、かつ贈与を受けた翌年3月15日までに耐震基準適合証明書などで証明する必要があります。

限度額を超えるときの贈与税の計算方法

特例により非課税限度額が緩和されるものの、「限度額以上の援助を受けたい」と思っている方もいらっしゃるでしょう。

その場合、非課税限度額を超えた額に対して贈与税が課せられます。

たとえば、親から1,500万の資金援助を受ける場合、省エネ等住宅は500万円(一般贈与の基礎控除も含めると390万円)、それ以外の住宅は1,000万円(一般贈与の基礎控除も含めると890万円)に対して、贈与税が課せられます。

なお、贈与税を算出する際は「特例贈与財産用」の計算法が用いられます。

計算方法は、以下の通りです。

・贈与税額=「控除後の課税額」×「税率」-「控除額」

税率と控除額は、控除後の課税価格に応じて異なります。

控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10%
400万円以下 15% 10万円
600万円以下 20% 30万円
1,000万円以下 30% 90万円
1,500万円以下 40% 190万円
3,000万円以下 45% 265万円
4,500万円以下 50% 415万円
4,500万円超 55% 640万円

【ケース】1,500万の贈与を受けたときの贈与税は?

具体的に、親から1,500万の贈与を受けたときの税額を計算してみましょう。

なお、これ以外に贈与は受けていない(一般贈与の基礎控除を全額受けられる)こととします。

まず、「控除後の課税価格」を求めます。

【省エネ等住宅】1,500万円-(1,000万円+110万円)=390万円

【それ以外の住宅】1,500万円-(500万円+110万円)=890万円

次に、上記の表より適用される税率および控除額を、贈与税の計算式にあてはめます。

【省エネ等住宅】390万円×15%-10万円=48.5万円

【それ以外の住宅】890万円×30%-90万円=177万円

このように限度額を超えると、多額の贈与税が課せられますので、注意しましょう。

住宅取得等資金贈与の非課税の特例を受けるときの注意点

住宅取得等資金贈与の非課税の特例を受けるには、以下の点も注意したいポイントです。

税務署への申告が必要

特例を受けるには、贈与を受けた翌年3月15日までに管轄の税務署への申告が必要です。

申告をしなければ、「住宅取得が目的の贈与」であることがわからず、特例による基礎控除額の緩和措置が受けられません。

期限内に必ず申告するようにしましょう。

「贈与の時期」と「家が完成する時期」を考慮する

特例を受ける条件の一つに、「贈与を受けた翌年3月15日までに入居する」という項目があります。

この日までに家が完成せず、入居できない場合は、特例が受けられないことがありますので注意しましょう。

なお、工事が遅れるなどの理由で入居できない場合、税務署が「工事が完了に準ずる状態にある」と認めれば、特例が受けられます。

ただ、スケジュールは余裕を持って立てた方が安心です。

住宅ローンの実行前に贈与を受ける

「住宅取得」を前提に認められる特例ですから、住宅ローンの実行後の贈与だと「別の目的で贈与された」とみなされ、特例が適用されないことがあります。

贈与を受ける時期は、住宅ローンの実行前に設定しましょう。

住宅ローン控除と併用するときの注意点

住宅ローン利用者なら、「住宅ローン控除」も魅力的な節税制度です。

住宅取得等資金贈与の非課税の特例とも併用できますが、その際に注意したいのが「贈与額によっては、控除額が減る可能性」があること。

贈与額とローン借入額の合計が住宅購入費を上回ると、上回った分が住宅ローン控除の対象外になるので、注意が必要です。

たとえば、親からの贈与額が1,000万円、住宅ローンを2,000万円借り入れる人が、2,500万円の家を購入するとします。

このとき、住宅購入費を超える500万円は「目的がわからない資金」とみなされ、住宅ローン控除の対象から外されてしまい、控除額が減る可能性があるのです。

引っ越しの資金なども含めて、親から多めに資金援助を受けようと考えている方もいらっしゃるでしょうが、住宅ローン控除の節税効果が薄れてしまう可能性があることも理解しておきましょう。

非課税限度額以上に贈与を受けたいときの対応方法

「限度額を超えるときの贈与税の計算方法」で説明したように、非課税限度額以上に贈与を受けると多額の贈与税が課せられる恐れがあります。

ただ、限度額以上の贈与を受けても課税から免れる合法的な方法も、いくつかあります。

一例として、家を建てる数年前から「非課税限度額内の資金援助を受け続ける」のも一手です。地道な手段ですが、年間110万円までなら贈与税は課されないため、5年間で550万円が非課税で得られます。

このほか、「親と共有名義にする」という方法もあります。

名義(持ち分)を共有すれば、贈与ではありませんから贈与税は課せられません。

また、あくまでも名義の共有ですから、一緒に住まなくても大丈夫です。

ただし、親が亡くなった後に相続税が生じます。

また、兄弟がいると相続トラブルに発展する恐れもあるため、家族で話し合うことも大事です。

まとめ

住宅取得等資金の贈与税の非課税の特例を利用すれば、頭金を増やして住宅ローンの借入額を抑えられますから、返済負担も軽くなります。

支援額が非課税限度額内に収まれば、大きな節税効果を期待できますので、親と相談してみてはいかがでしょうか。

なお、利用するには税務署への申告や、入居日のスケジュール調整なども必要です。

しっかり計画を立てて、マイホームをお得に購入しましょう。

Real Estate

分譲情報

マルショウの強み豊富な分譲地

滋賀県を中心に豊富な分譲地(土地)を
開発する私どもマルショウは、
分譲地域の環境や特徴を
理解していることが強みです。
土地を読み解き、
私たちの家づくりはスタートします。

View
Real Estates