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親子リレーローンってなに?親子リレーローンの特徴・メリット・デメリット

二世帯住宅を建てる資金源として、「親子リレーローン」の利用を検討している方もいらっしゃるでしょう。

二世帯住宅の建築費は、一般的な一戸建てよりも高いため、より多くの資金を調達する手段として親子リレーローンは頼もしい存在です。

ただ、利用するには一定の条件を満たす必要がありますし、メリットだけでなくデメリットや注意点もあるため、内容をしっかり把握した上で検討することが大切です。

ここで、親子リレーローンの基本的な情報をまとめて案内します。

親子リレーローンの特徴

親子リレーローンとは、親が返済中の住宅ローンを子が引き継げる融資商品です。

一例として、定年退職を迎えるまでは親が返済し、退職後は子が返済を継承して完済するといったケースで使われます。

親子リレーローンは、親子二人で一つの住宅ローンを契約することになります。

このため、契約上は「親が契約者(主債務者)」「子が連帯債務者」とする、連帯債務型の住宅ローンといえるでしょう。

なお、金融機関によっては「親子リレー返済」「親子二世帯型」という商品名で提供しているところもあります。

親子リレーローンの要件

親子リレーローンには、通常の住宅ローンの利用条件に加え、以下の要件も満たす必要があります。

・同居中または同居予定の親子であること

・返済を引き継ぐ子は1人のみ

・借入時の年齢は、親が70歳未満、子が18歳以上であること

・完済時の子の年齢は80歳未満であること

・団体信用生命保険は、どちらか一方のみ加入できる

上記の条件は金融機関によって若干異なる場合がありますが、どの金融機関にも共通するのが、「親子で同居する家を取得する人」しか使えないことです。

同居形態は、一つの家に同居する場合でも、二世帯住宅でも利用できます。

また、団体信用生命保険は「子が加入すること」を求める金融機関がほとんどです。

親が加入すると、万一、子の方が先に亡くなると完済できなくなるリスクがあります。

このリスクを避けるために、親は団体信用生命保険に加入できないとしている金融機関が多いようです。

親子リレーローンの審査基準

親子リレーローンは、親子二人で契約する住宅ローンですから、審査も二人に対して行われます。

審査の基準は、通常の住宅ローンとほぼ同じです。

年収や勤続年数、健康状態など、金融機関が求める要件に併せて審査されます。

審査のポイントとして、親子リレーローンでは「子の返済能力が重視される」という点があります。

子の収入が不安定だったりほかにも多くの借り入れがあったりすると、親は審査に通っても子は審査に通らず、融資が受けられないことになります。

親子ともに「安定した収入があること」も、審査に通るためのポイントです。

親子リレーローンのメリット

一般的な住宅ローンと比べて、親子リレーローンを利用するメリットをお伝えします。

親が45歳以上でも35年ローンを契約できる

親子リレーローンの返済期間は、通常の住宅ローンと同じく最長35年に設定している金融機関が多いようです。

通常の住宅ローンでは、45歳以上の方は35年の契約はできませんが、親子リレーローンであれば子に継承されるため、35年でも契約できます。

返済期間が長くなるほど毎月の返済額を抑えられますから、家計の負担を軽減できる点も、親子リレーローンを利用するメリットです。

借入可能額を増やせる

親子リレーローンの借入可能額は、親子の収入を合算して求めます。

このため、一人で契約するより融資を増やせることもメリットです。

借入額が増えれば、選べる物件の幅も広がります。

また、返済期間を長く設定できることから、より多くの融資を得ることも可能です。

ただし、借入額が多くなると子の返済負担が重くなる可能性があります。

住宅ローン控除は親子ともに適用される

住宅ローン控除は、親子の持ち分に応じて適用されます。

二人とも控除を受けられますから、節税効果が大きくなりやすい点も魅力です。

特に子は、親が返済中の期間でも控除が受けられますから、恩恵が大きいでしょう。

なお、控除期間は最長13年です。

親子リレーローンのデメリット

さまざまなメリットがある親子リレーローンですが、デメリットもあります。

以下の点を理解して上で、検討することも大事です。

親子で同居しなければならない

親子リレーローンを利用できるのは、「親子で同居する人」です。

これは、どちらかが亡くなるまで同居を続けることを意味します。

もし途中で同居を解消する場合、残債の完済を求められることがある点は、理解しておく必要があります。

どうしても同居を解消したい場合は、どちらかが通常の住宅ローンに借り換えて返済を続けるという方法も可能です。

ただ、家を出ていく方は新しい家を確保しなければならず、余計な出費が生じるでしょう。

家を売却するのも一手ですが、その場合、売却額で残債を完済できることが条件です。

きょうだいがいると相続トラブルになることも

親子リレーローンで購入した家は、親と子の共有名義になります。

親が亡くなると、その持ち分は子に相続されますが、ここで問題になるのが「きょうだいにも相続される」ことです。

きょうだいがいない家庭であれば、ローン返済を継承する子に相続されるので問題ありませんが、きょうだいがいると返済をしていない人にも相続されてしまい、これが相続トラブルに発展する場合があります。

きょうだいがいる家庭では、事前に相続に関する話し合いをしておく必要があります。

相続税や贈与税が課せられる

親が亡くなったら、その持ち分に応じて子には相続税が課せられます。

相続税対策として、親が亡くなる前に「子の名義にする」という方法もありますが、この場合は子に対して贈与税が課せられます。

いずれの場合も、親の持ち分が大きいほど子の負担が重くなりますので、持ち分を決める際には将来の相続税も見越して決めることが大切です。

親が返済途中で亡くなったときの対策も必要

親子の持ち分を決めても、「親が早く亡くなって、子の返済額が増える」というリスクにも備える必要があります。

具体的なケースとして、「定年までに返済できる額をもとに持ち分を決めたものの、親が定年前に亡くなってしまい、その残債が子に継承される」ということも、考えられるでしょう。

親の残債が多いほど子の返済負担が重くなり、返済が滞るなどして家を手放さなければならないこともあります。

こうした事態を避けるには、「限度額いっぱいの借り入れをしないこと」がポイントの一つです。

親子二人の収入を合算できるとはいえ、借入額を増やしすぎると返済に苦労するのは子の方ですから、借入額は慎重に決める必要があります。

また、親が団体信用生命保険に加入できない場合、ほかの生命保険に加入することも対策の一つです。

親の生命保険で残債を減らすことができれば、遺された子の返済負担を軽くできます。

親子リレーローンの利用を検討する時は、将来を見据えて確認しなければならない事項が、通常の住宅ローンよりも多くなります。

想定されるリスクをピックアップし、対策法や解決法を検討した上で契約することも重要なポイントです。

親子リレーローンと親子ペアローンの違いは?

親子で一つの物件を購入する方法には、親子リレーローンのほかにも「親子ペアローン」という商品もあります。

親子ペアローンとは、二人でそれぞれ別の住宅ローンを契約して一軒の家を購入する方法です。

それぞれの収入に応じた融資額を合算して家を購入できるため、物件の選択肢が広がります。

また、住宅ローン控除も親子ともに適用されますし、借入額に応じて持ち分が決まることも親子リレーローンと同じです。

親子リレーローンと違う点の一つが、「契約本数は2本になる」ことです。

親子それぞれで契約するため、手数料などの諸費用も2倍近くになります。

また、「親子ともに団体信用生命保険に加入できる」のも、親子リレーローンとの違いです。

親が亡くなった際には、親の分の残債は保険で完済できます。

このため、遺された子に親の残債が継承されず、子の負担が重くなる心配はありません。

このほか、「返済は親子同時に進める」のも、親子リレーローンと異なる特徴です。

親子ペアローンを利用するときの注意点

親子ペアローンは、親も団体信用生命保険に加入しなければなりません。

そのため、「親の年齢や健康状態が加入条件を満たしているか」がポイントになります。

団体信用生命保険に加入できるのは「70歳未満」という商品が多いです。

これは住宅ローンの利用条件とほぼ同じですから、年齢で心配するケースは少ないでしょう。

問題は、健康状態です。

保険に加入する際には、持病の有無や既往歴などを申告する「告知書」という書類を提出しなければなりません。

高血圧や糖尿病などの持病を抱えている方は審査に通らない可能性が高く、住宅ローンの借り入れもできなくなります。

健康に不安がある方は、「親子リレーローン」を選んだ方が審査には有利でしょう。

なお、告知書は自己申告制ですが、病気を隠すなど嘘の情報は絶対に書かないでください。

後で発覚すると「虚偽の報告をした」とみなされ、保険金が支払われない場合があります。

正直に記載することが、遺された子のためになるのです。

まとめ

親子リレーローンを利用すれば、年齢や収入に不安がある方でも、理想の家を手に入れやすくなります。

親子ともに住宅ローン控除が適用されますから、節税効果も期待されるでしょう。

一方で、親の残債は子に継承されますから、万一のことがあった際に子の負担が重くならないよう対策を打つことも大切です。

無理な返済プランを立てないことはもちろん、持ち分の割合や相続のこともしっかり話し合い、互いに納得した上で契約しましょう。

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